コミュニケーション・トレーニング


コミトレとは…

1 六年間、積み重ねたコミュニケーション・トレーニング(コミトレ)
 新学習指導要領が、中学校でも完全実施されるようになり、盛んに耳にするのは「言語活動の充実」と「コミュニケーション力」という言葉です。
 本校では、6年前、県の研究指定を受けたときから、この二つのことを念頭に置き、実践を積み重ねてきました。その実践の両輪とも言えるのが、「コミュニケーション・トレーニング」と「協同学習」です。
 では、本校の「コミュニケーション・トレーニング」とはどういうものなのか、概要を御紹介しましょう。約10分ほどでできるスキルで、大きく分けて「書くこと」「聞くこと」「話すこと」「複合型」の4つに分類できます。この4つの領域の問題を1年間で約50回、1週間に2回を目途に取り組んでいます。
 1週間に2回、年間50回程度では効果が上がらないのではないか、という疑問を持たれる方も多いと思いますが、問題作成者にとっても、指導する教師にとっても、また生徒にとっても、過度の負担にならず続けてこられたのは、この程度の回数だからではないでしょうか。
 7月現在、「コミュニケーション・トレーニング」、略して「コミトレ」を始めて、6年、通算308回を数えました。そして、本年4月、これまでの実践の一端を出版するという大きな成果を残すことができました。
東洋館出版社より増刷!(平成26年7月24日(木))

2 「コミトレ」の実施方法と内容
 本校は生徒数50人に満たない小規模校です。学年による発達段階は異なりますが、各学年に合わせて、毎回3通りの問題を作ることは大きな負担です。そこで、本校では、3学年共に、同じ問題を一斉に行います。しかも、クラス担当者によって、扱い方が異なってもよくないということで、4年前からは放送で一斉に行うようにしています。このことで、同じ説明で、同じ時間をかけて、同時に行うことができます。確かに1年生と3年生で同じ問題は可哀想かもしれませんが、その差が繰り返し「コミトレ」を受けてきた上級生の成果と言えるのではないでしょうか。
 また、内容的には1学期は「書く」「聞く」「話す」の基礎コースを繰り返し行います。一つのパターン(同じ出題形式の問題)を4ないし6回繰り返し、ほぼできるようになったところで、新しいパターンに移ります。生徒を飽きさせないための工夫です。2学期からは、6年間に生み出された様々なパターンの問題を3年間で一通りできるように、計画的に行っています。 
 本年度は、火曜日の終学活と水曜日の朝学活で行っています。また、授業研究会や指導員訪問、授業参観等の日にも、コミトレの公開を行っています。

3 「コミトレ」の効果
 今年、初めての試みとして、「書くこと」「聞くこと」の基礎コースで、学年別に成績を比較してみました。やはり、取り組みを重ねてきた、上級生は一年生に比べて、成績がよかったです。また、同じ「書く」問題でも、3年生は3分間で、2年生は4分間で、1年生は5分間で書き上げるように指示したところ、2・3年生は殆どの生徒が制限時間内に書き上げることができました。内容的にも当を得た内容でした。さすがに1年生は、最初は5分でも書き上げるのに苦労していましたが、3・4回繰り返すうちに、時間も短縮され、内容もまとまった文章が書けるようになりました。
 また、学年間の比較だけでなく、何名かの生徒を追跡調査したところ、1年の頃に比べ、学年を追う毎に、その成績が伸びていっていることが解ります。


4 「コミトレ」と協同学習…相乗効果?
 第1項でも申し上げたように、本校では「コミュニケーション・トレーニング」だけを行ってきたわけではありません。「コミトレ」はスキルです。スキルで培われた力は活用の場を得てこそ、本当に生かされるのです。「コミトレ」の取組により、話し方・聞き方 文章を書くことへの抵抗感がぐっと減っていくのが解ります。それを授業で生かすのが「協同学習」です。
 協同学習では、互いに意見を述べ合い(話す力)、相手の言わんとするところをよく聞き(聞く力)、互いに学びあったことを振り返り文章にまとめること(書く力)を学習の随所で使います。ここに、「コミトレ」で培われた「力」が生きるのです。
 また、「コミトレ」の採点は、相互評価がほとんどです。生徒たちがペアやグループで評価し合います。このペアやグループの活動が、協同学習の場でも、自然と人と話し合う、学び会う空気を作り出しているようです。
 「コミトレ」と「協同学習」、まさに車の両輪、いえ、それ以上です。足し算ではなく、かけ算の関係にあるように思われます。

5 「コミトレ」、これから
 毎年、学年末に生徒にアンケートを採っています。昨年度(平成23年度)末に採った中から、以下に2項目を挙げておきましょう。学年が上がる毎に、「楽しみながら」コミトレに取り組んでいる状況が分かります。また、それほど楽しくないと思っている一年生(現二年生)も、「コミトレ」は続けていったほうがよいと答えています。
 この結果から見ても、おいそれと止めるわけにはいかないでしょう。これからも、「コミトレ」のネタになるようなものはないかと、アンテナを高くして、生徒たちと楽しい「コミトレ」を作っていきたいと思っています。



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